年下に追い抜かれた。焦りのてっぺんは、八月二十三日で過ぎる
四つ下の後輩が、先にチームを持つことになりました
おめでとう、と言えたか
言いました。声は普通だったと思います
言ったあとで、自分に嫌気がさした、というところだろう
はい。祝う気持ちも本当なのに、両方あるのが苦しいです
先に言っておく。両方あるのが普通だ
四つ下の後輩が、先にチームを持つことになった。
おめでとうと言った。声も普通に出た。それは嘘ではない。だが同じ日の帰り道、自分の年数を数えている。
祝う気持ちも、焦る気持ちも、どちらも本当だ。両方あることが、いちばん苦しい。
抜かれたのは、能力の差ではない
先に言っておく。年下に先を越される時期の大半は、実力の差がついたからではない。任される順番が、その組織の都合で回っているだけだ。
人が抜擢されるとき、そこには本人の力以外の要素が大きく混ざる。空いたポジション。上の人の入れ替わり。たまたま担当していた案件が伸びたこと。どれも本人が選べない。
にもかかわらず、抜かれた側だけが「自分に何か足りなかった」と考える。運の要素は、勝った側には見えて、負けた側には見えない。
足りなかったのではない。順番がまだ来ていない。
八月二十三日は「処暑」。暑さが止まる日
ここで、暦の話を少しさせてほしい。
8月23日は、**処暑(しょしょ)**という日にあたる。「処」という字には「とどまる」「おさまる」という意味がある。つまり処暑は「暑さがおさまる」と書く日だ。
これは**二十四節気(にじゅうしせっき)**という暦のひとつ。一年を二十四に区切って季節の目印にしたもので、「立春」「夏至」「立秋」もこの仲間だ。太陽の位置で日付が決まるので、感覚ではなく天文の計算で定まっている。占いカラスが使う暦は、国立天文台が公表している数値に沿っている。
まだ暑い。体感では、とても暑さがおさまるとは思えない。それでも暦は、ここで折り返すと言っている。
焦りも、暑さと同じ形をしている
なぜ暦の話をしたか。
暑さのピークにいるとき、人は「まだ上がる」と思う。実際には、そこが天井で、あとは下るだけだ。体感はいつも、実際より遅れて動く。
焦りも同じ形をしている。抜かれた直後がいちばん高い。そこから先は、事実が変わらなくても、感じ方のほうが下がっていく。一週間後には、同じ話を少し落ち着いて考えられるようになる。
今は、その天井にいる。天井にいるときの判断は、たいてい大きすぎる。辞める、異動を申し出る、資格を取り始める。どれも悪くはないが、今日決めた大きな決断は、来月の自分が引き受けることになる。
動くなら、九月七日を過ぎてから
ここまでを行動に落とすとこうなる。
転職の応募、異動の希望、上司への直談判。こういう勝負どころは、9月7日を過ぎてからにしたほうがいい。
9月7日は白露(はくろ)。「白い露」と書いて、朝晩が冷えて草に露が降りはじめるころを指す、次の節気だ。ここまで来ると、暑さの残りも、焦りの残りも、だいぶ引いている。
二週間待つだけで判断の質が変わるなら、待ったほうが得だ。焦って今週出して落ちるより、整えて再来週出すほうがいい。
待つあいだにやること
この二週間でやっておくと効くことを挙げる。どれも今日できる。
- 自分が任された仕事を、年ごとに三つ書き出す。 抜かれた事実の隣に、自分の実績を並べる。並べないと、片方しか見えない
- 後輩の仕事のやり方を、一つだけ真似する。 悔しさを観察に変えると、少し楽になる
- 評価を決める人が誰か確かめる。 頑張る方向がずれていることは、わりとよくある
- 年数を数えるのをやめる。 数えても情報は増えない。焦りだけが増える
九星別・八月下旬から九月初旬の動き方
| 本命星 | この時期の傾向 |
|---|---|
| 一白水星・六白金星・七赤金星 | 人からの引きが効く。自分から売り込むより、相談される形をつくるといい |
| 二黒土星・五黄土星・八白土星 | 積み上げが効く。地味な作業を片づけると、秋にまとめて返ってくる |
| 三碧木星・四緑木星・九紫火星 | 言葉が届きやすい。伝えそびれていた希望は、白露を待たずに出していい |
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それでも今日がつらいなら
ここまで書いたのは、時間が解決するという話でもある。
だが、渦中にいる人にとって、それは慰めにならない。二週間後に落ち着くと言われても、明日の朝礼は明日来る。
そういうときは、誰かに話してしまうのがいい。同僚には言えない。家族には格好がつかない。だから、利害のない相手に話す。
答えをもらうためというより、自分が何に引っかかっているのかを、口に出して確かめるために使う。話しているうちに「役職が欲しいわけではなく、見ていないと思われたのが嫌だっただけだ」と気づくことがある。そこまで分かれば、次に何をするかは自分で決められる。
まとめ
- 年下に抜かれるのは実力差ではなく、順番と組織の都合
- 2026年8月23日は処暑。暦のうえでは暑さの折り返し
- 焦りも同じ形で、抜かれた直後がいちばん高い
- 大きく動くなら、白露の9月7日を過ぎてから
- 待つあいだは、自分の実績を年ごとに書き出しておく
天井にいると分かっていれば、天井は少しだけ耐えやすくなる。
